概要
簡素化(Simplify)は、ポリゴン境界の点を間引く。簡素化によって、データ容量は削減、形状は荒くなり、ポリゴン間に隙間・重なりが生じてくる。
たとえば九十九里浜のデータをオリジナルと簡素化後で比較すると以下のようになるが、相当数のポイントが削除されていることがわかる。
手順
メニューの「ベクタ」→「ジオメトリツール」→「ジオメトリの簡素化」でダイアログが開く。
- “入力レイヤ”で簡素化したいレイヤを選択
- “許容範囲”の数値を指定(後段で説明)
- “Simplified”は簡素化後の出力先/Shapeファイルの場合はshpファイル名で指定する
- “アルゴリズム実行後に・・・”は実行終了後にレイヤを表示させたいときにチェック
- Runボタンで実行
融合(Dissolve)処理に比べて処理は早く、2~3分程度。
許容範囲の値と容量・精度
許容範囲の数値は簡素化の程度に相当し、数値が大きいほど多くの点が間引かれる。許容範囲が大きすぎると、ポリゴン境界が接しなくなる。
許容範囲 | shpファイルサイズ | 境界切れ |
(元ファイル) | 220,131KB | なし |
0.000001 | 176,010KB | なし |
0.00001 | 104,925KB | なし |
0.00005 | 47,158KB | 僅か |
0.0001 | 33,165KB | 僅か |
0.001 | 13,830KB | 発生 |
たとえば許容範囲0.001の場合、以下のように市区町村間に隙間ができる。
許容範囲をより小さくすると境界線のずれは見た目ではわからないが、よく探すと細かいところでずれている。たとえば以下は京都府木津川市内の笠置町の飛地で、許容値0.00005の場合。
同じ場所で許容値0.0001にした場合。
このレベルになるとズレの規模が数十メートル程度なので、全国のデータを扱うときにはこの程度の簡素化をすることで、かなりの容量と処理時間の低減に結び付く。
簡素化の効果
簡素化によってポイントの数が減ることから、shpファイルの容量の削減、処理速度の向上に繋がる。
たとえば国土数値情報の行政界データについて、オリジナルのデータと許容値0.0001で簡素化したデータを比較すると、ファイル容量で220,131KB→33,165KBと190MB、85%の減少。
また時間のかかる融合(Dissolve)処理についても、オリジナルデータで何時間もかかっていたのが、簡素化後では6分程度で終了するという大きな効果。
したがって、全国の市町村データなどを扱うような場合には簡素化データ、特定の県・市町村の場合にはオリジナルデータといったデータの使い分けが重要。
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